手術前日、当日
手術前日まで全く緊張はなく、ただ検査をしたりして、過ごしていた。手術が近づくと、先生と面談をし、腫瘍が悪性であって、とりきるとなった場合に、手足の運動を司る部分に近いようで、半身麻痺がでる可能性があるが、攻めるのか、そこまでしなくていいから、麻痺が出ない程度に摘出するか、決めてくださいとはなしがあった。
攻めてほしいと自分は思った。
しかし、もしそうなったら、迷惑をかけるのは家族である。どれくらいの麻痺が出るのか?-車椅子ということもありえるし、そうならないようにもちろん努力をするが。 確率はどうなんでしょう。-程度はあれ、麻痺はほぼ出ると思います。先生を信じて、攻めて貰いたいと妻に言うと、そうだねと同意してくれました。 父親にも相談すると、もし車椅子になったら、うちで面倒みてやるよ。と。攻めてもらうことをお願いしました。
手術前日、なかなか寝付けない。睡眠導入剤をもらい、眠る。
手術は朝からだったが、予定より早く目が覚めた。朝が苦手なのに不思議だ。
そして妻や両親がやってきた。手術着になり、手術室に向かう。そして部屋の前でお別れ。どうなるかわからず、今生の別れに?なんて不安に思いながらも手術室に入っていった。
家族は、病室で待機をするようだ。
手術室前で祈るというようなドラマのようなかんじを想像していたが、そんなことはないらしい。
部屋に入り、麻酔の針を打たれ、これは麻酔入る時教えてくれますか、いきなりだとこわいので、、-勿論言いますよ、いれていきますねー--と意識がなくなっていった。
目をさましたが、まだ集中治療室。とてもあたまが痛い。痛み止めや筋肉注射でなんとか痛み止めしてもらう。痛み以外ほとんど記憶にない。
家族には、簡易検査でグレード3であり、ほぼ、予想通り。悪そうなところはほとんど摘出できたと報告があったらしい。
嬉しかったのは左手が動いたことである。全く動かないなんてことはないんだと嬉しかった。
先生が、皆帰るから、左手でピースして、ばいばいしよう!と言われたが、難しかった。
家族が病室に帰ったわけだが、集中治療室こら電話があり、本人が妻を呼んでるとのことで妻が集中治療室にまたきたらしい。
明日くるから今日は帰ると説得してもずっと首を縦にふらなかったようだ。なんとか説得してかえっていったようだ。手を振って見送ったらしい。
落ち着いてきて目を閉じてると、もう朝7時すぎだから、そのまま寝ていいと看護師さんに言われた。手術は8時頃に終わったらしいので、手術自体は半日、意識飛んでたのはおよそ1日ということになる。
いつの間にか大部屋にうつされていて、目が醒めると大部屋の椅子に妻が1人いた。壮絶な1日から目覚め、妻の顔を見た時にとても愛おしく感じた。この人のために長生きをしようと。結婚して一年を迎えようとしているのに、死ぬわけにはいかない。
生きねば
しかし、とても気持ち悪くてまともに喋れず、つまらなかったようで妻はかえっていった。左手でばいばいをした。
こうしておよそ二ヶ月半の入院生活が幕を開けた。傷痕のはホッチキスでとめられている。若い人の方が早く麻酔がきれて、痛みもでやすいらしい。